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三樂文庫

「桜守のはなし」

2021.03.08

佐野藤右衛門氏は、植木職人として仁和寺に仕える十六代目。

京都、植藤造園の当主です。

日本各地の名桜の保存につとめる「桜守」を継承されています。

この本はいくつかの写真にやさしいはなし言葉で、

問いに答えていただいている32ページの物語です。

字が大きく、ひらがなが多く、漢字はすべてふりがなつきです。

 

故イサム・ノグチ氏のデザインの、パリにある「ユネスコ日本庭園」

を手掛けた功績で1997年、ユネスコのピカソ・メダルを受賞。

 

文のいち文をご紹介させていただきます。

 

桜は、夏は暑く、冬は寒くないとあかん。

本来、人といっしょやと思います。そやけど、今のわたし

らの生活は、それをできるだけかんじないようにしてるん

ですわ。

桜をみるんやったら、じぶんが好きな桜を1本だけ決めて、

春だけやなく、夏の桜、秋の桜、冬の桜と1年とおしてみ

ていってほしいんです。そうすることで、人も自然をかん

じることができる。きっと桜もよろこぶと思いますわ。

桜は守り、そだて、継いでやらな、絶えてしまう木なんです。

守るといっても保護するわけやない。ちょっと手をそえて

やるぐらいでええんですわ。

家族をみるのとおなじです。たいせつなのは見守る、いう

ことです。

それがわたしらのしごとなんだと思いますわ。

 

著書:「桜守のはなし」

著者:佐野藤右衛門

発行所:講談社

発行日:2,012年3月6日

 

桜守のはなし
  • 三樂文庫No:014
  • 著者:佐野藤右衛門
  • 出版社:講談社
  • 発行日:2,012年3月6日

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文章・写真: 三樂編集部