三楽

閉じる

三樂だよりmagazine

葛飾柴又帝釈天「題経寺邃渓園」と「山本亭」に行きました。

コラム 2019.10.04

『フーテンの寅さん』で有名な「柴又帝釈天」に行ってきました。

このお寺の正式名は「題渓寺」、江戸初期開創の日蓮宗寺院です。
中には、昭和40年に向島庭師「永井楽山」により作庭された池泉庭園の「邃渓園」があります。
木彫りで緻密な立体彫刻の「彫刻ギャラリー」とともに400円で拝観できます。
「柴又帝釈天題渓寺」では、2ヶ月に1回の庚申日に本尊を開帳し、どなたもが帝釈堂に入りお参りができます。法話も行われています。
この「庚申参り」は、江戸時代から続いており災難から守られた町民の信心と心の拠り所であったと思われます。
公式ホームページの「宵庚申」の一節は、当時のこの地域の様子が見たこともないのに眼に浮かぶようです。

http://www.taishakuten.or.jp/index2.html

また近隣の「山本亭」は関東大震災後に建てられた個人邸を葛飾区が取得し、平成3年より一般公開に至っているそうです。
大正、昭和の建築は見所が多く、伝統と洋風の調和に居心地の良さを感じます。
何と言っても「おしゃれ」です。「モダン」です。
そこから眺める「書院庭園」はとても穏やかで、風が通り、時間も残暑も忘れるくらいです。
入場料は100円です。
抹茶なども有料で出していただけます。
私は「葛切り」をいただきました。
四季を通じて楽しめる身近な庭園のご紹介でした。

http://www.katsushika-kanko.com/yamamoto/

http://www.taishakuten.or.jp/index2.html

柴又帝釈天門前参道

「柴又帝釈天門前参道」
食事処やお土産屋・仏具・民芸店など約40以上の店舗が並んでいます。
平成30年2月13日、「葛飾柴又の文化的景観」が、都内初の国の重要文化的景観となりました。
葛飾柴又の文化的景観は、近世初期に開基された帝釈天題経寺と近代以降に発展したその門前を中心に、それらの基盤となった農村の様子を伝える旧家や寺社などの景観がその周囲を包んでいます。さらにその外側に19世紀以降の都市近郊の産業基盤や社会基盤の整備の歴史を伝える景観が広がり、水路の痕跡や道などもよく残っています。
このように、葛飾柴又は地域の人々の生活、歴史、風土などによって形成され、それらを現在に伝える重要な景観地として評価されました。

 

柴又帝釈天参道 「立花屋」
創業100年以上のお煎餅屋さんです。
現在では中々味わうことができない煎餅の独特な渋味のある香ばしい品が特徴です。

 

柴又帝釈天参道 「金子屋」
店頭に並ぶ20個ほどの昔なつかしいガラスの瓶。
煎餅が入っているこの瓶は、地球瓶と呼ばれています。防湿性が強いすぐれもので、創業当時(大正年間)から使用しているものもあるそうです。

柴又帝釈天題経寺

柴又帝釈天題経寺 「瑞龍のマツ」
参道から二王門をくぐって境内に入ると正面に帝釈堂が建っており、その帝釈堂の手前、向かって左に生えているのが樹齢およそ500年のクロマツ「瑞龍のマツ」です。
幹は上方にまっすぐ伸び、大枝は北、南、西の3方に長く伸びています。そのうち、西の枝は石畳に沿うように伸び、南北の枝は帝釈堂を守護するかのように庇の前に伸びています。その生き生きとした姿は、頭を空に向け、尾を西に伸ばして天に昇る「龍」のようです。
縁起によると、題経寺は寛永6年(1629)創建で、開基の日栄上人が柴又に寄った際、見事な枝ぶりのマツと、その下に霊泉が湧いているのを見つけ、この地に庵を設けたことがその始まりとされています。この時に日栄上人が見た木が、「瑞龍のマツ」とされています。
平成28年3月11日 都指定の天然記念物に指定されました。

 

柴又帝釈天題経寺  「大鐘桜」
高さ約15m、四手先の豪壮な桝組と木彫を施し関東一の鐘楼と言われています。
昭和30年、名匠、林亥助棟梁によって完成されました。

 

柴又帝釈天題経寺  庭園 「邃渓園(すいけいえん)」
庭園内は立ち入り出来ませんが、屋根のある渡り廊下を巡り美しい景色を楽しむことが出来ます。

 

柴又帝釈天題経寺 庭園 「邃渓園(すいけいえん)」
禅宗寺院の建築とともに中国から伝わった「花頭窓」ですが、日蓮宗の帝釈天題経寺にも使われていました。

 

柴又帝釈天題経寺 庭園 「邃渓園(すいけいえん)」
残暑の緑も良いですが、紅葉の庭園は見応えありそうです。

 

柴又帝釈天題経寺 庭園 「邃渓園(すいけいえん)」の『大客殿』
シャンデリアがモダンな大広間です。

 

柴又帝釈天題経寺 「帝釈堂彫刻ギャラリー」
胴羽目彫刻 『病即消滅の図』
「法華経」は、全世界の人びとの病いの良薬です。もしある人が病いにかかり、この「法華経」を聞く幸運に恵まれたら、たちどころに病いはなおり、不老不死の境地を得ることができるのです。
「今関 光次 作」(展示説明より)
ソテツが彫ってあるのが気になりました。 中国では漢方薬として、葉・種子・茎・花・根が薬用になるとされているとか、関係あるのかはわかりませんが。

 

柴又帝釈天題経寺 「帝釈堂彫刻ギャラリー」
飛び出す獅子も見事です。

 

山本亭

「入り口門」です。

 

ガラス戸やガラス欄間を多用することで開放感のある構造になっています。

 

「居宅」
庭園に向かう見晴らしのよい、心安らぐ空間です。
お茶と「くずきり」を頂きました。

 

木彫りと障子の欄間です。

 

「鳳凰の間」
寄木を用いたモザイク模様の床、白漆喰仕上げの天井、ステンドグラスの窓が用いられた、山本亭唯一の洋間です。

 

「主庭」
風情ある石橋が架かっています。

 

アメリカの日本庭園専門誌「Sukiya Living・ ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」による2018年日本庭園ランキングが12月に発表され、山本亭の日本庭園が4位にランキングされました。このランキングは全国900カ所以上の名所旧跡を含む庭園を対象に実施されるもので、世界各国の専門家たちが真に日本を代表するくつろぎと美の空間を総合的に判断して評価しています。

柴又が描かれている数々の文学作品

作家名        作品名

 

こうだろはん          つけやきば

幸田露伴 ・・・・ 「付焼刃」

いとうさちお          のぎくのはか

伊藤左千夫 ・・・ 「野菊の墓」

なつめそうせき         ひがんすぎまで

夏目漱石 ・・・・ 「彼岸過迄」

ながいかふう          だんちょうていにちじょう

永井荷風 ・・・・ 「断腸亭日乗」

たにざきじゅんいちろう     しじんのわかれ

谷崎潤一郎 ・・・ 「詩人のわかれ」

ししぶんろく          おおばん

獅子文六 ・・・・ 「大番」

おざきしろう          じんせいげきじょう

尾崎士郎 ・・・・ 「人生劇場」

はやしふみこ          ばんぎく

林 芙美子 ・・・ 「晩菊」

まつもとせいちょう       かぜのしせん

松本清張 ・・・・ 「風の視線」

たやまかたい          とうきょうのきんこう

田山花袋 ・・・・ 「東京の近郊」

いのうえひさし         とうきょうせぶんろーず

井上ひさし ・・・ 「東京セブンローズ」

 

作品のほとんどが明治、大正、昭和の時代背景です。

このような庭に佇むと文豪たちの作品に描かれている「人・家・町」がデジャブのように今ここに居るかのように、存在するかのような錯覚に陥ります。

 

「匂い」「香り」まで届くような…

 

この場所では、時代の変化に関係の無い優しい空間に好きな時間いることができます。

入場料百円で…

この記事をシェアする

文章・写真: 三樂編集部