三楽

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三樂文庫

とわの庭

2022.02.14

本を選ぶ時、「◯◯の庭」というだけで手に取ってしまう。

その庭の空間、季節感、植物の捉え方は、

物語によって内容は違えども、

それぞれに興味深い。

 

目が見えない世界をしらないけど、

主人公「とわ」の目線で物語を読み終えた。

読んでいる自分の感情の浮き沈みは、映画を見ているような感覚だった。

 

野鳥の黒歌鳥合唱団の「囀り」は、耳から…

「香る」「匂う」植物は、鼻から…

風とともに

盲導犬「ジョイ」と添い寝すれば、

その温もりの肌を手から…

得る感触。

 

目で見えずともその花を想像する「とわ」の姿を想像する。

 

最後に登場する印象的な蔓性植物、「スイカズラ」は、「ハニーサックル」と呼ばれ、

「忍冬」と書く。

どんな香り、匂いなのか、もしかして既に嗅いだことがあるのか?

この春、探してみよう。

とわの庭
  • 三樂文庫No:063
  • 著者:小川 糸
  • 出版社:新潮社
  • 発行日:2020年10月30日

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文章・写真: 三樂編集部