三楽

閉じる

三樂文庫

天下城 上

2021.08.02

群雄割拠の時代、集団、穴太衆となった若者、市郎太の物語。

信濃、佐久の出で一族とともに武田勢に押し潰され、まだ幼さが残る市郎太は

人買いに売られ過酷な鉱夫となり3年、戦の加勢に駆り出された折、脱走して軍師三浦雪幹の従者となり、

京、堺、西国を廻りながら、兵法を学ぶ。

雪幹が病で亡くなった後、縁あって「穴太衆」の石積み職人となる。

 

戦国時代、鉄砲の価値が日に日に高まる中、同様に城作り、石積みの需要が高まってくる。

市郎太は、奴隷のような鉱夫の頃、体が鍛えられ、岩、石の扱いにも手慣れ、

雪幹の従者の頃は、兵法、孫子、墨子を学び、若き織田信長や堺でフランシスコ・ザビエルの面談に

同席するなど時々に得るものが多く、逞しい青年になっていく姿に惹かれる。

面白い時代小説だ。

これから下巻は織田信長の築城を棟梁として任せられていく…

 

この小説は、2011年JAG10周年記念イベントの滋賀『継承してゆく風景』の1日目〈石の風景〉解説をご担当いただいた福原成雄氏(大阪芸術大学 教授)の紹介によるものです。

比叡山の里坊(塔頭)など散策、解説頂き、翌日の〈水の風景〉では、「唐崎の松」生水の里・針江地区」を坂本の辻井造園、辻井博行氏が案内をして頂きました。

いずれもまさに「継承してゆく風景」を目の当たりにした感で、この二日間の影響力は計り知れないものでした。

 

穴太衆】=「比叡山 坂本」=「石積み集団」

天下城 上
  • 三樂文庫No:035
  • 著者:佐々木 譲
  • 出版社:新潮社
  • 発行日:2004年3月30日

この記事をシェアする

文章・写真: 三樂編集部